インターネット上で集客や販売を行いたいとき「ポータルサイト」と「ECサイト」どちらがより適しているか、お悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。それぞれの役割や特徴を理解することで、自社の目的に適したサイトを選べるようになります。 本記事では、ポータルサイトとECサイトの特徴や機能、目的に応じた適切なサイト選びのポイントなど、幅広く紹介します。
ポータルサイトとは
はじめに、ポータルサイトの定義から、主な機能や特徴、代表的なポータルサイトまで紹介します。
ポータルサイトの定義
ポータルサイトとは、ユーザーがインターネットを利用する際の「入口」となる、総合的なWebサイトのことです。従来は一つのジャンルに関するサイトのリンク集でしたが、インターネットの普及に伴い、多彩なコンテンツを持つ近年の形式に進化してきました。現在では、ジャンルを問わない大規模なものから、一つのジャンルに特化した専門的なものまで、幅広い種類のポータルサイトが存在します。
主な機能と特徴
ポータルサイトは、主に以下のような機能を備えています。
- 検索機能
- ニュース配信
- 天気予報
- 占い
- 掲示板
- SNS連携 など
多彩な機能を通じて、ユーザーの日常的な情報収集ツールとしての役割を果たします。ポータルサイトの大きな特徴は「情報の集約力」と「多機能性」です。これらの特徴は、ユーザーの回遊を促し、滞在時間や再訪率を高める効果が期待できます。また、利便性を高めるだけでなく、広告や提携コンテンツによる収益化も可能です。
ポータルサイトの例
以下より、ポータルサイトの代表例を挙げながら特徴を解説します。
SUUMOは、賃貸や購入など不動産に関する情報を集約したポータルサイトです。住まいに関する幅広いニーズに対応し、エリアや条件を指定して物件を検索できます。ユーザーにとっては物件探しのスタートとして、不動産会社にとっては集客の場として機能します。
食べログは、飲食店の検索から予約までできる、飲食店情報を集約したポータルサイトです。店舗は営業情報をテキストや画像でユーザーに届け、ユーザーは口コミ投稿によってリアルな評価を伝えられます。
クラウドワークスは、仕事を発注したい企業と仕事を受けたいワーカーをつなぐ、クラウドソーシング型のポータルサイトです。Web系を中心に多様なジャンルの案件が掲載されており、ワーカーはスキルや条件に合った案件に応募できます。
iタウンページは、従来の電話帳をデジタル版として利用できる、企業や店舗情報の検索サイトです。全国の事業者情報を集約する、網羅性と信頼性の高さが特徴で、ユーザーはエリアやキーワードなどで検索できます。
ECサイトとは
続いて、ECサイトの定義から主な機能、特徴や代表的なサイトまで紹介します。
ECサイトの定義
ECサイトとは、インターネット上で商品やサービスを販売・購入できるWebサイトを指します。店舗を持たずに24時間営業が可能なオンラインショップであり、企業や個人を問わず幅広い業種で活用されているサイトです。
主な機能と特徴
ECサイトには、主に以下のような機能があります。
- 商品検索機能
- 商品一覧表示
- カート機能
- 決済システム
- 会員登録
- 注文履歴確認 など
近年は、レコメンド表示やチャットサポートの導入など、ユーザーの購買体験の向上を目指した取り組みが進んでいます。SNSとの連携による集客やAIを活用した機能は、ユーザーの利便性を高め、購買導線を最適化する効果が期待できます。
ECサイトの例
代表的なECサイトには、Amazonや楽天市場などが挙げられます。大規模なECサイトで利用者も多く、ジャンルレスで多様な商品が販売されています。
ポータルサイトとECサイトの違い
ポータルサイトとECサイトには、目的や役割、用意するコンテンツなどさまざまな違いがあります。
目的・役割の違い
ポータルサイトの目的は「情報の集約と提供」です。ユーザーが必要な情報を一つにまとめ、検索や閲覧をスムーズにし、ユーザーのサイト内回遊を促します。ECサイトの目的は「商品やサービスの販売」です。購買行動を促進し、売上に直結させる役割を担います。
コンテンツの違い
ポータルサイトのコンテンツは、ニュースや検索機能、掲示板や天気予報など多岐にわたります。情報の幅広さと更新頻度が重視され、コンテンツ自体が価値を生みます。ECサイトのコンテンツは「商品購入のための情報」が中心です。商品画像や価格、在庫やレビューといった情報が該当します。
利用者の動機の違い
ポータルサイトの利用者は、主に「情報収集」や「娯楽」、「日常的な習慣」といった目的で訪問することが多く、比較的ライトな動機が中心です。ECサイトの利用者は「商品を探して購入したい」という明確な購買意図を持っている場合が多いと考えられます。そのため、サイト内の利便性や信頼性が、購買率に大きく影響します。
マネタイズ方法の違い
ポータルサイトでは、主に「広告収入」や「有料会員」で収益を得るケースが一般的です。そのため、多くのアクセスを集め、価値あるコンテンツを提供することがマネタイズのポイントとなります。ECサイトは「商品の販売利益」や「決済手数料」など、直接的な取引を通じてマネタイズされます。
構築コストの違い
ポータルサイトは、多機能な検索システムや情報の自動更新機能、広告管理システムなど、構築に専門的な知識と高い初期コストが必要になる傾向があります。対してECサイトは、専門のサービスを利用すれば低コスト・短期間での立ち上げが可能です。ただし、独自で1から開発する場合は、ポータルサイトと同様のコストに加え、決済やセキュリティ対策なども必要になります。
運用リスクの違い
ポータルサイトは多様なコンテンツを提供するため、情報の信頼性が問われやすい性質があります。誤った情報の掲載や炎上リスクに注意が必要です。また、大量のアクセスを前提とするため、サーバー負荷対策も必須と考えましょう。ECサイトは個人情報や決済データを扱うため、セキュリティ面のリスクが高く、不正アクセスや情報漏洩への備えが重要です。
自社に向いているのはポータルサイト?ECサイト?
自社に向いているのはポータルサイトかECサイトか判断が付きにくい場合は、サイト制作の目的を明確にすることが大切です。
自社情報を発信したい場合
自社情報を発信したい場合は、ポータルサイトが向いています。企業のサービス内容や実績、業界のニュースなどの情報を集約し、整理して伝える構成にすることで、ブランドの信頼性向上やSEO効果にもつながります。
商品を販売したい場合
商品を販売したい場合は、ECサイトを選びましょう。商品登録やカート機能、決済システムといった販売機能を備えたECサイトは、売上拡大や新規顧客獲得に直結します。自社ブランドを育てたい場合は独自ドメインで構築し、スモールスタートならネットショップ作成サービスを使うのも一つの手です。
ハイブリッド型(情報発信+販売)という選択肢も
目的が情報発信と販売の両方がある場合は、2つの機能を兼ね備えたハイブリッド型サイトという選択肢もあります。コラムや特集記事で商品の理解や関心を高め、そのままEC機能で購入へつなげる導線を設計することで、高いコンバージョンを実現できる効果が期待できます。
まとめ
ポータルサイトは「多様な情報の提供」、ECサイトは「商品やサービスの販売」といった、明確な違いがあります。自社の目的を明確にし、サイトに期待する役割によって適切なタイプを決定しましょう。 目的が情報発信と販売にまたがる場合は、ハイブリッド型サイトを選ぶことも可能です。大きなコストがかかるため、制作にお悩みの場合はプロの力を借りることもおすすめです。ぜひお気軽にご相談ください。