社内ポータルサイトを成功させるためには、構築時の要件定義で目的や道筋を明確にしておく必要があります。目的をしっかり定め、誰もが操作しやすい社内ポータルサイトを構築しましょう。この記事では、社内ポータルサイトを構築する際の要件定義の手順や重要性について解説します。
そもそも社内ポータルサイトとは?
社内ポータルサイトとは、企業内の情報を集約した、社内限定で閲覧できる情報サイトのことです。業務で使用するさまざまな情報を確認するための、入口としての役割を果たします。
従業員のみがアクセスできるため、業務マニュアルや勤怠管理など、企業の重要情報を安全に共有できるのがメリットです。情報共有がしやすく業務効率化も期待できることから、社内ポータルサイトは多くの企業が導入を進めています。
要件定義とは
要件定義とは、実現したい内容をもとに、具体的な方針を決める作業です。目的や必要な機能などを洗い出し、どのように進めていくかを決めていきます。方向性に沿った社内ポータルサイトを作るうえで、重要な過程です。
社内ポータルサイト構築で要件定義が重要とされる理由
要件定義が重要とされる理由は、主に効果面とコスト面のふたつです
社内ポータルサイトの効果を最大化できる
社内ポータルサイトは、運用目的を明確にすれば、効果の最大化が見込めます。必要な機能は目的に合わせて用意するため、構築する前に目的を決めておくとスムーズに進められます。
制作におけるコストを抑えることができる
道筋をしっかり立てると、時間、人員などを含めた全体のコストが抑えられるのも理由のひとつです。目的に合わせて、コストの予想や調整ができるため、効率よく構築できます。 途中で予想外の事態が発生しても、要件定義していれば、原因の追求や軌道修正も難しくありません。
社内ポータルサイト構築における要件定義の手順
構築の指針になる、要件定義の作成手順を確認しましょう。
目的・ゴールの明確化
まずは、社内の課題や要望を把握し、解決するための目的やゴールを明確化します。目的やゴールは、企業によってさまざまです。なんのために構築するのかを最初に決めておくと、方向性を見失わずに済みます。
ステークホルダーの洗い出しとヒアリング
次に、ステークホルダーを洗い出して、ヒアリングを行います。ステークホルダーとは、従業員や経営者、株主、顧客など、企業の影響を受ける利害関係者のことです。構築のやり直しが発生しないよう、この段階で定期的に情報共有し、意見を聞きます。
現状の業務・情報フローの整理
続いて、課題を把握するために、現状の業務・情報フローを整理します。業務・情報の大きさに関係なく、必要な内容をすべてリストアップして概要をまとめておくと、後々の作業の進行がスムーズです。
課題の整理と合意形成
課題を整理して、ステークホルダーの意思を統一し、合意形成します。課題の整理は、現状を把握し、カテゴリーを分け優先順位をつける作業です。合意形成とは、意見を一致させ、納得を得ることをいいます。定義した要件に納得してもらえるよう、構築するメンバーの意識を統一することが重要です。
必要機能の整理と優先順位づけ
目的や課題に沿って、必要な機能を整理し優先順位をつけます。課題面で必要な機能でも、目的に合わせると必要ではない機能が出てくる可能性もあります。しっかり精査して、判断する必要がある作業です。
要件定義書を発行する
合意形成して決定した要件を、定義書にまとめて発行します。主に目的、条件、方針など、構築し始めてからの指針になる内容をまとめる作業です。目的に沿った、なおかつ従業員の意見も反映した一貫性のある内容にする必要があります。
社内ポータルサイト構築の流れ
設計から運用までの、社内ポータルサイトを構築する流れを見ていきましょう。
設計
まずは、要件定義に沿って公開画面・管理画面を設計します。デザインは、UI(見やすさ)よりもUX(使いやすさ)を意識した設計にするのがおすすめです。全体のデザインが決まったら、部分的なデザインと、掲載する情報の表現方法を決めていきます。
開発
次に、決定した設計をもとに社内ポータルサイトの開発を始めます。一般的なWebサイトの構築方法と変わりありませんが、社内ポータルサイトは、アクセス制限やコンテンツ閲覧制限の設定が必要な場合がほとんどです。そのため、想定以上に時間がかかる可能性も念頭に置いておきましょう。
テスト・検証
開発が完了したら、テストと検証を行います。社内ポータルサイトが正常に動作するか、しっかりチェックしましょう。アクセス制限やコンテンツ閲覧制限は、より入念に検証しなければなりません。テストと検証も、2ヵ月から3ヵ月ほど期間を要する場合があります。
導入
テストと検証で動作に問題がなくなれば、いよいよ導入です。導入日は万が一のことを想定して、何かあっても対応できるようにしておきましょう。導入直後も念のためテストを行い、問題がないか確認します。
運用・改善
社内ポータルサイトを公開したら、運用の開始です。最新の正しい情報を提供できるよう、定期的に更新しましょう。
運用後は、必要であれば改善しなければならない場面も出てきます。運用して出てきた不具合や不満点は、改善して常によい状態を保つことが大事です。急な不具合が発生した場合の対応ができるよう、あらかじめ想定して人員を確保する必要があります。
社内ポータルサイトの代表的な機能
社内ポータルサイトにあると便利な機能で、代表的なものを7つ紹介します。
情報共有・お知らせ機能
ニュースのように、最新のお知らせや更新内容を共有する機能です。この機能があると、社内ポータルサイトを確認すれば、社内の最新情報を把握できる状況が作れます。情報を更新するのみで従業員に共有できる、便利な機能です。
社内資料・ドキュメント管理
契約書や報告書など社内で重要な文書を保存し、共有・管理する機能です。従業員は、検索すれば必要な文書へアクセスできます。文書の管理やアクセス権限の設定を行えば、セキュリティや情報の信頼性を高められます。
ワークフロー・業務支援機能
経費申請のような作業の業務支援をWeb上で行える機能です。紙であれば確認や承認に時間がかかる場合がありますが、オンラインなら無駄な手間を省けます。申請者も決裁者も、いつでも対応できるのがメリットです。
コミュニケーション・掲示板
チャット機能に代表されるコミュニケーション機能や掲示板は、社員同士や他部署の従業員とのやりとりが手軽にできます。必要な内容の確認に時間がかからないため、業務が効率化でき、生産性も上がります。
スケジュール・カレンダー機能
従業員の予定管理や、タスクのリマインドなどを行う機能です。各々の予定を一括で確認・管理できるのが魅力です。打ち合わせや会議、タスクの割り振りなど従業員間で必要な業務をスムーズに行えます。
人事管理機能
オンライン上で出退勤や休暇申請を行える勤怠管理機能、人事評価にも活用できるスコア機能が代表的です。管理をポータルサイト上で一括して行えるため、効率のよい業務ができます。
個人向け機能(マイページ)
従業員ごとに情報管理ができる機能です。いつも確認するページをブックマークしたり、閲覧履歴や個人の予定、勤怠管理などを一括して閲覧できます。従業員の利便性が向上し、社内ポータルサイトをより快適に利用可能です。
まとめ
社内ポータルサイトを構築するうえで、要件定義は重要な役割を果たします。目的の設定だけではなく、課題の解決や関わりがある人の合意など、従業員や関係者を巻き込んで構築することが大事です。要件定義で、構築する側も利用する側も納得できる、社内ポータルサイトを構築しましょう。