CMSとは「コンテンツ・マネジメント・システム」の略で、誰でも容易にWebサイトの構築・更新ができるシステムです。導入すると運用面やコストなど多くのメリットがある一方で、セキュリティ面などのデメリットもあります。CMSを導入するか検討している方向けに、CMSについて詳しく解説します。
CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)とは?

CMSとは、専門的なプログラミング知識がなくても、Webサイトのページ作成や更新、管理ができるシステムのことです。テキストや画像を入れるだけでページができ、デザインや管理機能も一元化されているため、初心者でも扱いやすいのが特徴です。企業・個人問わず、世界中で広く活用されています。
CMSを導入していないWebサイト
CMSを導入していないWebサイトの場合、ページを更新するたびにHTMLやCSSの編集が必要になります。この「コーディング」と呼ばれる作業には専門知識が求められ、更新の手間や時間もかかるため、運用コストがかかりがちです。
CMSを導入したWebサイト
CMSを導入したWebサイトでは、管理画面から簡単にページの追加や編集ができます。複数人での運用にも適しており、更新スピードの向上や作業ミスの防止にもつながります。より効率的にWebサイトを運用したい会社に向いています。
CMSを導入する5つのメリット
Webサイト制作のためにCMSを導入すると、運用コストや作業の効率化だけでなく、デザイン面などにもメリットがあります。
知識がなくてもページの更新・追加ができる
CMSを導入すると、専門的なHTMLやCSSといった知識がなくてもページの更新や追加ができるのが大きなメリットです。作業が容易にできるため、更新のハードルが下がり、Webサイトを常に最新の状態に保てます。
複数人での分担作業でサイト運用を効率化できる
CMSは複数のユーザーアカウントを発行でき、アカウントごとに権限を分けて作業できます。記事作成や公開などの工程を分担できるため、社内外問わずチームを組む場合も効率的にサイト運用が可能です。
スマートフォンやタブレットへの対応が容易になる
多くのCMSには、スマートフォンやタブレットに自動で最適化される「レスポンシブデザイン機能」があります。設定をしなくても、どのデバイスでも見やすいページを作成できるため、ユーザー体験の向上に直結します。
デザインやレイアウトの統一がしやすい
CMSにはテンプレート機能があり、ヘッダーやフッター、ページレイアウトなどを共通化できます。全ページでデザインが統一されるため、Webサイト全体の見やすさやブランドイメージが整いやすくなります。
コンテンツ作成にかかる時間とコストを削減できる
CMSでは、リライトや画像変更、ページの公開・非公開などの作業を、1つの管理画面で完結できます。手作業でのコーディングが不要になり、制作にかかる時間と費用を大幅に削減できるのがメリットです。
CMS導入前に知っておきたい3つのデメリット
CMSには、デザインや機能などに制限がある点や、セキュリティ面などのデメリットがある点も理解しておきましょう。
デザインや機能のカスタマイズに制限がある
CMSはテンプレートや既存の機能を使ってサイトを構築するため、自由度の高いデザインや複雑な機能を実施しづらい場合があります。独自の動きやレイアウトを実現したいときは、追加の開発が必要になることもあるでしょう。
セキュリティ上の課題が発生する場合がある
CMSは多くのユーザーが利用するため、悪意ある攻撃の対象になりやすい側面があります。プラグインの脆弱性やバージョンの古いシステムを放置すると、情報漏えいなどのリスクが高まります。
運用・保守の手間とコストを見込む必要がある
CMS導入後も、継続的なアップデート対応や不具合修正、バックアップなどの運用作業は必須です。社内に担当者を置けない場合は外部への依頼が必要になるため、運用・保守に手間とコストがかかる点がデメリットといえます。
CMSの主な種類とそれぞれの特徴

CMS導入を検討する際は、種類や特徴について知っておくことが大切です。
オープンソース型CMS
オープンソース型CMSは、ソースコードが一般公開されており、無料で利用できるのが特徴です。WordPressやDrupalなどが代表例で、世界中のユーザーが拡張機能やテーマを提供しているため、自由度が高く幅広いサイトに対応できます。 一方で誰でもカスタマイズできる分、適切に管理しないとセキュリティリスクが生じる可能性があります。導入コストを抑えつつ柔軟なサイト構築をしたい企業に向いていますが、運用体制の整備が重要です。
商用パッケージ型CMS
商用パッケージ型CMSとは、システムベンダーが提供する有料ライセンスのCMSです。サポートやセキュリティ対策が充実しており、高い安定性とサポート体制が求められるような大規模サイトや企業サイトに向いています。 また、業界特化型や高度な機能を備えた製品も多く、運用の効率化にも役立ちます。ただし、導入や保守には費用がかかるため、予算とのバランスを考えることが必要です。
クラウド型(SaaS型)CMS
クラウド型(SaaS型)CMSは、インターネット経由で提供されるサービス型のCMSで、サーバー管理やシステム更新が不要なのが大きな特徴です。常に最新の状態で使えるため、セキュリティ面でも安心して導入しやすいのがメリットです。 初期費用が比較的抑えられる一方、月額や年額などの利用料金が継続して発生します。また、カスタマイズ性は提供サービスの範囲に限定されることもあるため、独自機能を多く実装したい場合は注意が必要です。
独自CMS(フルスクラッチ構築)
フルスクラッチ構築による独自CMSは、自社の要件に合わせてゼロから開発するCMSです。デザインや機能ともに自由度が高く、思いのままに制作が可能になります。事業の特性に合わせて、高度なワークフローや専門的な機能も実装できます。 一方で開発費用と期間が大きく、保守体制の整備も必要です。高いコストがかかっても、自社に最適化されたWebサイトを長期的に運用したい企業に向いています。
自社に最適なCMSを選ぶためのポイント
さまざまな種類のCMSがある中で、自社に最適なものを選ぶためには、以下5つのポイントを押さえて検討するのがおすすめです。
Webサイトの規模や目的に合っているか
規模や目的によって必要な機能は異なるため、自社サイトに合っているかを確認することが大切です。将来的な拡張性も含めて、自社の運用に無理のないCMSを選びましょう。
管理画面の操作のしやすさ
管理画面の使いやすさは、日々の運用効率に影響します。直感的に操作できれば、知識の少ない担当者もスムーズに更新できるでしょう。デモサイトを操作してみるなど、迷わず使えるか確認しましょう。
欲しい機能を追加できる拡張性があるか
将来、サイトの規模の拡大や新たな施策の開始などを想定し、機能を柔軟に追加できるCMSかどうかもポイントです。プラグインで機能拡張ができるタイプなら、必要に応じてカスタマイズできます。
セキュリティ対策は万全か
CMSは攻撃対象になりやすいため、セキュリティ対策の強さもチェックポイントです。脆弱性対策の更新が定期的に行われているか、管理画面の権限は細かく設定できるかなどを確認しましょう。
サポート体制は充実しているか
運用中に不具合やトラブルが発生した場合、迅速に対応してもらえるサポート体制があるかも重視しましょう。マニュアルやFAQが充実しているか、問い合わせにどれだけ対応してくれるかを確認しておくと安心です。
まとめ
本記事では、CMSの基本知識から具体的な種類と特徴、自社に導入するときにチェックしておきたいポイントなどを解説しました。使いやすいCMSですが、セキュリティ面やカスタマイズの限界など、考えておきたい注意点もあります。メリットとデメリットを押さえながら、自社に最適なCMSを選択しましょう。

