近年、多様なジャンルで活用されているマッチングサイトには、さまざまな作り方があります。この記事では、マッチングサイトの構築方法や種類、市場拡大の背景について解説します。
マッチングサイトとは
マッチングサイトとは、提供する人と必要とする人がつながれるインターネットサイトのことです。商品の売り買いや仕事の受発注など、さまざまな需要と供給を結びつけ満たす役割を持っています。
ユーザーのニーズに合わせてマッチングを行うため、より適した内容を各々のユーザーに提供できます。インターネットの利用が当たり前になった現在において、注目されているコンテンツです。
マッチングサイト市場の現状
近年拡大し続けているマッチングサイト市場の現状を確認しましょう。
マッチングサイトの市場規模の推移
マッチングサイトの市場規模は、年々成長しています。2020年度は126億円だった市場が、2021年度には174億円、2022年度は228億円と2年間で1.8倍にまで拡大しました。中期予測では、2027年度には555億円と2020年度の4.4倍の規模になる見通しです。
分野別では、2021年度と2022年度で、総合ビジネスマッチングが50.5億円から69.8億円と1.3倍に増加しており、急激に拡大しています。直接やり取りすることが難しくなったコロナ禍をきっかけに、オンライン商談や比較サイトの需要が拡大したことが理由と考えられます。
参考:コロナ禍で拡大した国内ビジネスマッチングプラットフォーム市場の現状と展望【2022年版】」を発刊|日本経済新聞」
マッチングサイト市場が拡大している背景
マッチングサイト市場が拡大している背景として考えられるのが、インターネットとスマートフォンの普及と物価上昇です。毎年総務省が発表している「令和7年版情報通信白書(概要)- 総務省」によると、スマートフォンを利用している人は、全体の78.8%を占めています。
近年、スマートフォンの普及によりインターネットを気軽に利用できる機会が増え、多くの人がマッチングサイトを活用しやすくなりました。同時にSNSが普及し、対面せずにやり取りするハードルが下がっているのも理由のひとつです。
また、近年の物価高の影響で現代人は消費が減っており、物はなるべく買わず、所有しない傾向にあります。一時的に必要なものはレンタルで済ませるといった風潮もあり、シェアリングサービスの需要も拡大しています。
シェアリングサービスの市場規模は、2022年度に2兆6,158億円にまでのぼり、2032年度には15兆1,165億円にまで達する見込みです。シェアリングサービス以外にも、人や時間、移動など、あらゆる場面でニーズが見いだされたことも、マッチングサービスの市場拡大を促す一因と考えられます。
情報過多時代に求められるマッチングサイトの役割
マッチングサイトには、ニーズに合ったものを的確に効率よく見つける役割があります。情報が多く溢れる現代においては、ニーズに合ったものを探すには選択肢が多いため、時間も手間もかかるのが難点です。
人のニーズも多様化しており、個々に合ったものを見つけるのは簡単ではありません。提供する側も、ただものやサービスを提示しただけでは、ニーズに合った人へ届けるのが難しい状況です。
情報がたくさんあるなかで、ユーザーが必要なものを見つけ出すのに、マッチングサイトは最適です。提供する側も同様で、マッチングサイトは双方にとって重要な役割を果たしています。
マッチングサイトのビジネスモデル
マッチングサイトで収益を得るためのビジネスモデルを4つ紹介します。
会員費・掲載料
会員費・掲載料は、ユーザーに毎月や年間など一定期間で定額を支払ってもらうビジネスモデルです。有料でハードルが高い一方で、登録してもらえれば安定して収入が入ってくるため、収益を得やすいという特徴があります。
広告収入
広告収入は、アフィリエイトをはじめとした広告をサイトで表示して、収益を得る方法です。収益化できるまでには時間がかかりますが、ユーザーに負担をかけずに集客できます。
売買手数料
売買手数料は、所定の契約にのっとり、販売金額の何%かを提供するユーザーが支払うビジネスモデルです。取引が多ければ多いほど収入が見込めるため、取引数が多い場合に適しています。
成功報酬
成功報酬は、取引が成立したときに成立した金額の何%かを報酬として得られるビジネスモデルです。取引が成立しない限り、ユーザーに費用は発生しません。ユーザーに最初にかかる費用の負担がないため、集客しやすいビジネスモデルです。
マッチングサイトの種類
マッチングサイトには細かく分けるとさまざまなニーズがあり、種類が豊富にあるのが特徴です。ここでは、多種多様なジャンルを取り扱うマッチングサイトの種類の一部を紹介します。
求人サイト、職業紹介サイト
求人サイトや職業紹介サイトは、人材を採用したい企業と仕事を探している求職者がマッチングできるサイトです。
エージェントサイトや人材派遣会社は間に担当者が入るのに対し、求人サイトや職業紹介サイトでは担当者が入りません。企業と求職者は直接コミュニケーションを取れるため、お互いが効率よく活動できます。通常の募集では発掘できない、優秀な人材を見つけられる可能性があるのも魅力です。
企業や個人がさまざまな業務を委託・受注できるクラウドワークスや、ITに特化している発注ナビなどが有名です。
ビジネスマッチングサイト
ビジネスマッチングサイトは、依頼したい仕事がある企業と、仕事を受注したい企業をマッチングするサイトです。ビジネスマッチングサイトを利用すれば、数ある企業のなかから仕事に合った企業を効率よく見つけられます。
各ジャンルに特化したビジネスマッチングサイトも、多数登場しています。依頼する側があまり知識のない内容でも、専門家のアシストが入ることで適切なビジネスパートナーを探せるのが魅力です。
有名なサイトでは、ウェブサイト制作に特化したWeb幹事や、専門分野に絞ってマッチングできる比較ビズなどがあります。
一括見積サイト
一括見積もりサイトは、ユーザーがまとめて複数の業者から見積もりを受け取れるサイトです。ユーザーは同時に複数の見積もりを比較でき、希望の条件に合った業者を効率よく探せます。
自動車買取や保険などをはじめ、最近ではリフォームや教育サービスなど、ジャンルは多岐にわたります。企業向けでは、ウェブ制作や士業・専門家のアドバイスやサービスのように、専門分野に特化した幅広い業種に対応しているのが特徴です。
引っ越しの見積もりサイトSUUMOや、幅広いビジネスマッチングが可能な比較ビズなどが一括見積もりサイトにあたります。
出会い系サイト
出会い系サイトは、インターネット上で、面識のない男女が出会うことを目的としたサイトです。近年、スマートフォンの普及により、マッチングアプリが広く使われるようになりました。
過去に流行していた出会い系サイトとは異なり、現在の出会い系サイトは、本人確認を行い、安全性や透明性を担保して運用するケースが主流です。遊びではなく、本気で出会いを求めているユーザーに出会いの場を提供するツールとして活用されています。
会員数が2000万人以上のPairsや、20代~30代向けの内面を重視したマッチングが強みのwithなどがあります。
売買のマッチング
売買のマッチングは、商品やサービスの売買をマッチングするサイトです。商品は新品だけでなく中古も取り扱っており、企業と個人、個人と個人が売買できるサイトもあります。
現在はフリマアプリが人気で、個人間で気軽に売買が可能です。価格は自由に決められ、購入する場合は直接販売側に交渉できるなど、柔軟に対応できるのが魅力です。
多種多様なものを販売できる若者に人気のメルカリや、服のレンタルサービスのairClosetなどが広く知られています。
場所・スペースのマッチング
場所・スペースのマッチングは、宿泊施設や駐車場、会議室、イベントスペースなど、場所やスペースを所有している人と借りたい人をつなげるサイトです。リアルタイムで空き状況を確認できるため、効率よく空間を活用できます。
特に民泊は、小さい規模でも個人で探せるのがメリットで、近年マッチングサイトを利用する人が多くいます。
個人宅や空きスペースを活用した駐車場をマッチングするAkippaや、民泊や別荘などを予約できるAirbnbなどが有名です。
スキルのマッチング
スキルのマッチングは、スキルを持っている人とスキルを磨きたい人をつなげるサイトです。家事や育児のような対面のスキルや、データ入力やイラストといったオンラインでできるスキルなどを求めている場合などに活用できます。
近年は、物価高や将来への備えのために副業を考える人が増えており、スキルのマッチングは需要があります。本業以外の隙間時間でできるものも多く、スキルがなくても利用できるのが魅力です。
運用されているサイトでは、スキルの有無に関係なくさまざまな仕事を探せるランサーズや、個人がスキルを販売しやすいココナラなどが有名です。
マッチングサイトの主な構築方法
マッチングサイトの主な構築方法を4つ紹介します。
スクラッチ開発
スクラッチ開発は、ゼロからサイトを作る方法です。もとからある機能やデザインを使わないため、独自のデザインや機能を開発できます。
自由度が高い分、開発までに時間や費用が大きくかかるのが難点です。専門的な技術が必要なため、対応できる人材も確保しなければなりません。大規模なマッチングサイトを作りたい、独自の機能やデザインが必要という場合におすすめです。
パッケージ導入
パッケージ導入は、もとからあるシステムを使って構築する方法です。専門知識がなくても、イメージするサイトが構築できます。
最低限必要な機能が実装されているものを使うため、スクラッチ開発よりも時間や費用がかかりません。できるカスタマイズも多く、ある程度自由度が高いのがメリットです。 企業によってパッケージやカスタマイズの内容は異なるため、求める機能や欲しいデザインが対応可能なところを選ぶ必要があります。
WordPress
WordPressはCMSのうちのひとつで、専門知識がない人でもサイトを制作できる構築方法です。マッチングサイト専用のテーマやプラグインがあるWordPressは、独自のテーマにするためにカスタマイズができます。ただし、カスタマイズしたい場合には専門知識が必要です。
基本的には無料で利用できるため、低コストで作成したい、自社で構築したいといった場合に適しています。
マッチングサイトの制作事例
株式会社エムズで制作した、マッチングサイトの事例を紹介します。
制作事例【VETS CAREER】
出典:VETS CAREER
動物病院と獣医師をつなぐマッチングサイトです。双方が事前に経歴や希望条件などを登録すると、マッチング率の高い求人情報を確認でき、効率よく求人活動、就職活動ができます。
制作事例【IT ICHIBA】
出典:IT ICHIBA
企業のITに関する悩みを解決するために、商談を効率化して必要な人に届けるマッチングサイトです。なかなか手が回らないITをサポートしてもらえる企業を、効率的に見つけられます。
制作事例【modeca】
出典:modeca
ヘアサロンとサロンモデル希望者をつなげるマッチングサイトです。ヘアサロンは低コストでイメージに合ったモデルを見つけられ、サロンモデル希望者は無料もしくは低価格でサービスを受けられます。
まとめ
マッチングサイトの構築は、作り方がわかれば難しいものではありません。さまざまなジャンルで成功しているコンテンツのため、商品やサービスに合ったビジネスモデルを設定すれば、収益化も可能です。時間や費用と相談して、自社に合った最適な方法でマッチングサイトを作りましょう。