地元や旅行先の情報を詳しく知りたいときに便利なのが、地域ポータルサイトです。地域ポータルサイトは情報を得られるだけでなく、地域とつながりを深める役割も担っています。この記事では、地域のコミュニケーションツールとして役立つ地域ポータルサイトの成功事例を紹介します。
地域ポータルサイトとは?
地域ポータルサイトとは、特定の地域の情報をまとめて発信するウェブサイトのことです。イベントやお店の紹介、行政からのお知らせをはじめとした、地域密着の情報が届けられます。行政のウェブサイトとは異なり、ジャンル特化型やブログ形式など自由度が高いのが特徴です。
地域ポータルサイトの重要性
地域ポータルサイトは、人口が少ない地域の活性化にも重要な役割を果たします。以下は、市区町村における人口規模別の人口減少率を表したグラフです。
引用元:国土交通省・国土のすがたの変化
人口が少ない地域ほど、人口減少率が高い傾向が見て取れます。
若者の地方離れや過疎化など地域の人口減少に対する課題がたくさんあるなか、住民や観光客に地域の情報を届けるのに、地域ポータルサイトは適しています。コミュニケーションツールとしての役割も果たしており、住民の意見も反映しやすく、地域の改善や活性化を促すのにも効果的なツールです。
全国規模で展開する地域ポータルサイトの成功事例
ここでは、全国規模で展開する地域ポータルサイトの成功事例を紹介します。
LO活|地方就職を支援する国の公式ポータルサイト
出典:LO活
LO活はLocal+就活の略で、地方で就職したい若者をサポートする厚生労働省のプロジェクトです。東京都以外の46道府県の自治体と200以上の学校が連携しており、地方の就職に特化した情報が詳しく掲載されています。
提供されている情報は、イベント開催や地方にある優良企業の紹介、地方の魅力や移住情報などです。地方の人材不足や過疎化を解決するツールとして、今後も期待できるポータルサイトです。
地方図鑑|地域経済の活性化を目指す全国情報サイト
出典:地方図鑑
地方で活動し活躍する方々の情報を統括した、地域活性化や社会教育の推進を目的に運営されているポータルサイトです。もともと「過疎自治体ファンクラブ」というサイト名でしたが、地方の問題は過疎地以外でも見られることから、「地方図鑑」とサイト名を変更しました。
地域おこし協力隊や一般社団法人、地方の民間企業や教育機関など、さまざまな方々の活動を紹介し地域経済の活性化に貢献しています。
住民参加型の地域ポータルサイトの成功事例
ここでは、住民参加型の地域ポータルサイトの成功事例を紹介します。
枚方つーしん
出典:枚方つーしん
月間300万ページビューを誇る、大阪府枚方市の情報を紹介する地域ポータルサイトです。雑談になるネタの提供を目標に、イベントやグルメ、お店の開店・閉店などさまざまな情報を提供しています。1日7記事ほどと更新頻度が高く、1記事ごとのクオリティも高いのが魅力です。
広告掲載費で収益を得ており、これまで培ってきたノウハウを活かし、大阪府内の他市町村のサイト運営にも乗り出しています。
阿佐ヶ谷百貨店
出典:阿佐ヶ谷百貨店
「まるごと楽しむ、阿佐ヶ谷。」をテーマにした仮想百貨店です。阿佐ヶ谷のお店をウェブサイトやSNSで紹介するだけでなく、登録している店舗のセレクトショップリアルイベントも開催されています。
リアルイベントではお店のファンがスタッフとなり、おすすめ商品のリアルな声を届けています。フリーペーパーの発行も行っており、オンライン、オフライン問わず幅広い世代に魅力を発信しているのが特徴です。
コミュチカ
出典:コミュチカ
地域住民とNPOやサークルなどの地域コミュニティをつなげるサービスです。地域コミュニティは参加者や支援・寄付を募るきっかけを、地域住民は自宅や職場以外のくつろげる場所(サードプレイス)を得られます。地域コミュニティは無料で登録でき、会員募集やイベント情報、活動報告も可能なため、別で情報提供のサービスを利用する必要がないのが魅力です。
移住者向けに特化した地域ポータルサイトの成功事例
ここでは、移住者向けに特化した地域ポータルサイトの成功事例を紹介します。
秋田暮らし はじめの一歩
出典:秋田ぐらし はじめの一歩
秋田県への移住・定住をサポートする地域ポータルサイトです。仕事や住まい、支援制度など、秋田へ移住したい人が必要な情報をテーマごとに提供しています。実際に移住した人のインタビューは50人を超え、リアルな声を確認できます。
ウェブサイト内での紹介にとどまらず、動画やさまざまなSNSなど多方面への発信に力を入れ、移住者増加を支援しているのが特徴です。
しちかしゅ暮らしのガイドブック
出典:しちかしゅ暮らし
七ヶ宿町に移住した人々のアンケートを参考に、実際移住してからの暮らしで感じたことをありのままに紹介するポータルサイトです。七ヶ宿町の歴史や特徴を踏まえながら、移住者のリアルな声を確認できます。移住者が知りたい情報を包み隠さず発信することで、七ヶ宿町の魅力を存分に伝えています。
サイト制作の流れ
地域ポータルサイトの制作の流れは、以下のとおりです。
- 制作を業者へ依頼する
- どのようなサイトにするか詳細を決める
- システムやデザインで必要な内容を決める
- 設計書に沿って構築
- テストの実施
- サイトリリース
一般的なサイト制作では、以下のものの準備が必要です。
【契約が必要なもの】
- サーバー
- ドメイン
- SSL
【用意が必要なもの】
- サイトのロゴ
- サイト内で使うテキスト
- サイト内で使う画像・動画
可能であれば自社で準備するのがおすすめですが、難しければ制作会社に相談したほうがよい場合もあります。制作依頼時に合わせて相談しましょう。
地域ポータルサイト制作のポイント
地域ポータルサイトを制作する上で、重要なポイントを解説します。
サイト制作の目的を明確にする
サイト制作時には、何を目的に作るかを明確にする必要があります。制作自体を目的とせず、ポータルサイトを作ることで地域に与える影響を考え、目的を定めましょう。
ターゲットを設定する
目的が明確になったら、ターゲットを設定しましょう。住民向けにするか、観光客や移住者向けにするかで、制作の方向性が変わってきます。全ターゲットを対象にと欲張らず、しっかりとターゲットを絞ることが重要です。
競合調査を行う
ターゲットを設定したら、どのような情報が必要か確認するために、競合調査を行います。同じ地域、目的で情報を発信しているウェブサイトがあるか、検索して上位にヒットするサイトがあるかを確認しましょう。
サイトのコンテンツを決める
続いて、サイトで必要なコンテンツを決めます。お知らせや新着情報など、一般的なポータルサイトにあるコンテンツが基本です。それに加えてクーポンや口コミ、観光マップのような地域ポータルサイト特有のコンテンツも用意しましょう。
必要な機能を決める
サイトのコンテンツが決まったら、必要な機能を決めます。ポータルサイトでは必ずある検索やお問い合わせフォームなどはもちろん、地域ポータルサイトでは地図やカレンダー、天気予報の自動表示などが欲しいところです。コンテンツに合わせて、どんな機能が必要か決めましょう。
集客方法を検討する
サイトの準備が整ったら、集客方法を検討します。地域ポータルサイトであれば、PR記事やSNSを活用するのがよいでしょう。フリーペーパーやチラシなど、オフラインで宣伝するのも地域ポータルサイトなら効果的です。
まとめ
地域ポータルサイトは、目的を明確にし、ターゲットに合わせた情報を提供すれば成功が期待できるツールです。人口減少が叫ばれるなか、地域活性化の起爆剤として大いに貢献できる可能性があります。地域の魅力を発信し、住民と一緒に盛り上げるために、地域ポータルサイトを取り入れましょう。