比較サイト構築は、デザインや依頼先から考え始めるより、目的と収益モデル(どこから収益を得るか)を先に決めたほうがスムーズに進みます。目的が決まればサイトの種類が絞られ、必要な機能や依頼先の選び方も見えてくるためです。この記事では、比較サイトの作成や制作を依頼する前に決めておきたいことを、7つのステップに沿って整理しました。
比較サイトは、比較LP、記事型の比較サイト、ポータル型のどれを作るかで、必要な機能も費用も変わります。どの種類が合うかは、自社商品の集客に使うのか、比較サイトそのものを事業にするのかで決まります。サイトの構造は依頼先に設計してもらい、発注する側は比較軸と載せたい項目を伝えることに力を注ぎましょう。
比較サイト構築の手順7ステップ
比較サイトづくりは、目的と種類を決め、依頼先と一緒に設計と開発を進め、公開後に改善していく流れです。画面のデザインから入るより、何を比べるかを先に固めておいたほうが、公開後の作り直しを防げます。

ステップ1:目的と収益モデルを決める
比較サイトを作る目的は、自社の商品やサービスの集客に使うか、比較サイトそのものを事業にするかの2つに分かれます。自社集客が目的なら、収益は比較サイトを経由して売れた自社商品の売上です。事業にするなら、掲載企業や広告主から収益を得る仕組みを選ぶことになります。
| 収益モデル | お金を払う相手 | 収益が発生するとき |
|---|---|---|
| 自社商品の売上 | 自社の顧客 | 自社商品が申し込まれたとき |
| 成果報酬(アフィリエイト) | 広告主 | 読者が紹介先で申し込みや購入をしたとき |
| 問い合わせ1件ごとの課金 | 掲載企業 | 読者が問い合わせや資料請求をしたとき |
| 月額の掲載料 | 掲載企業 | 掲載している期間に応じて毎月 |
| 広告枠の販売 | 広告主 | おすすめ枠などを販売したとき |
※収益モデルは1つに限らず、組み合わせて使う比較サイトもあります
収益モデルによって、必要な機能も、掲載企業と結ぶ契約の内容も変わります。自社商品を載せる場合は、運営者が自社であることを明示し、他社と同じ基準で比べることが前提です。この点は「比較サイトで注意すべき法規制」で詳しく解説します。
ステップ2:サイトの種類を決める
目的と収益モデルが決まったら、次はサイトの種類を選びます。この記事では、比較サイトをページの数と機能の多さで、比較LP、記事型の比較サイト、ポータル型の3つに分けて考えます。
| 種類 | 主な中身 | 向いている目的 |
|---|---|---|
| 比較LP | 1ページに比較表とランキングをまとめる | 広告で集めた読者を自社商品へ送客する |
| 記事型の比較サイト | 比較LPに解説記事を加えた数ページ構成 | 解説記事で読者を集め、比較表から申し込みにつなげる |
| ポータル型 | 絞り込み検索、企業ごとのページ、掲載企業の管理画面を備える | 掲載企業を集め、比較サイトを事業にする |
最終的にポータル型を目指す場合でも、比較LPで読者の反応を確かめてから広げていく進め方があります。

ステップ3:ジャンルと比較軸を絞る
どの種類を選んでも、扱うジャンルは絞り込んだほうが読者の役に立つ比較になります。大手の比較サイトと同じ広いジャンルで競うより、「中小企業向けの勤怠管理システム」のように対象を限定したほうが、読者が本当に知りたい比較軸を立てやすいためです。
比較軸とは、読者がサービスを選ぶときに実際に見る基準のことです。勤怠管理システムなら、月額料金、打刻の方法、給与ソフトとの連携、サポートの体制が比較軸の候補になります。軸を増やしすぎると比較表が読みにくくなるため、選ぶ決め手になる項目に絞りましょう。
ステップ4:構築方法と依頼先を決める
比較軸が決まったら、どの方法で作るか、どこに依頼するかを決めます。構築方法は、オープンソースのCMS、比較サイト向けの既製システム、月額で使えるサービス、ゼロから開発する方法の4つです。それぞれの違いと依頼先を選ぶ基準は、「構築方法と依頼先の選び方」で紹介しています。
ステップ5:サイト構造の設計を依頼する
サイトの構造やデータの持ち方は、自社で決めるのではなく、依頼先に設計してもらいます。発注する側が担うのは、ステップ3で決めた比較軸と、掲載企業ごとに載せたい項目を依頼先に伝えることです。比較軸はそのまま掲載企業ごとのデータの項目になるため、公開後に項目を1つ増やすだけでも、全掲載企業のデータを集め直す手間がかかります。設計の段階で、載せたい項目を漏れなく伝えておきましょう。
依頼先から提案される構造は、トップの下にカテゴリ、カテゴリの下に企業ページを置くツリー型が一般的です。カテゴリのページに比較表を置き、企業ページから申し込みへ進む流れです。企業ページはテンプレートで量産するので、掲載数が増えても品質をそろえられます。

ステップ6:掲載データとコンテンツを準備する
掲載するデータは、各社の公式サイトや資料で確認し、確認した日付を記録しておきます。料金や条件は変わりやすく、古い情報を載せたままにすると、読者と掲載企業の両方から信頼を失うからです。
公開前には、広告であることを示すPR表記と、ランキングの評価基準を説明するページも用意してください。どちらも景品表示法への対応に関わるため、具体的な内容は「比較サイトで注意すべき法規制」で確認できます。
ステップ7:小さく公開して改善する
最初の公開は、1つのカテゴリに絞った小さな構成で十分です。読者の反応を確かめてから次のカテゴリに広げたほうが、使われない機能に費用をかけずに済むからです。公開後は、次の数字を計測して改善につなげます。
- 比較表まで読み進めた人の割合
- 絞り込み検索を使った人の割合
- 比較表から申し込みや公式サイトへ進んだ人の割合
- 問い合わせの件数
掲載情報の更新が遅れていないかも、あわせて定期的に確認しましょう。
比較サイトに必要な機能
比較サイトに必要な機能は、サイトの種類によって変わります。読者が使うものと、運営者や掲載企業が使うものに分けると整理しやすくなります。
読者が使う機能
- 条件で絞り込む検索
- 複数の企業を並べる比較表
- ランキングやおすすめの表示
- 口コミの投稿と閲覧
- 問い合わせや資料請求のフォーム
比較LPなら比較表と申し込みボタンだけでも成り立ちますが、ポータル型ではこれらのほとんどが必要になります。
運営者と掲載企業が使う機能
- 掲載情報を登録・更新する管理画面
- 口コミを公開前に確認する審査機能
- 掲載企業が自社の情報を直す企業用の管理画面
- 送客数や問い合わせ数の計測
- 掲載企業への請求の管理
どれも読者からは見えない機能ですが、掲載数が増えるほど運営の手間を大きく左右します。なかでも管理画面は、運営者用と掲載企業用に分けて用意するケースが多く見られます。

収益モデルごとに先に作る機能
最初からすべての機能をそろえる必要はありません。収益モデルによって、公開時に欠かせない機能と、後から足せる機能が分かれます。
| 収益モデル | 公開時に必要な機能 | 後から追加できる機能 |
|---|---|---|
| 自社商品の売上 | 比較表、申し込みボタン、申し込み数の計測 | 解説記事、口コミ |
| 成果報酬 | 比較表、ランキング、成果の計測 | 口コミ、絞り込み検索 |
| 問い合わせ1件ごとの課金 | 問い合わせフォーム、送客数の計測、請求の管理 | 企業用の管理画面 |
| 月額の掲載料 | 絞り込み検索、企業ごとのページ、企業用の管理画面 | 口コミ、ランキング |
| 広告枠の販売 | おすすめ枠の表示、表示回数とクリック数の計測 | 絞り込み検索 |
構築方法と依頼先の選び方
必要な機能が決まれば、それを実現できる構築方法も絞り込めます。サイトの種類と機能の多さに合わない方法を選ぶと、公開後の改修や運用で余計な費用がかかります。
4つの構築方法の違い
| 構築方法 | 向いている種類 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| オープンソースのCMS(WordPressなど) | 比較LP、記事型の比較サイト | ソフト自体は無料で、比較表やランキングの拡張機能も使える | 掲載数が増えると更新作業が重くなる |
| 比較サイト向けの既製システム | ポータル型 | 検索、比較表、口コミの機能がそろっていて、立ち上げが早い | 仕様の範囲を超える改修は難しい |
| 月額で使えるサービス | 比較LP、ポータル型の試作 | 開発をせずに早く試せる | 独自の機能や外部との連携に限りがある |
| ゼロから開発 | ポータル型 | 独自の収益の仕組みや大量のデータ連携に対応できる | 開発期間と保守の負担が大きい |
迷った場合は、掲載企業から掲載料や問い合わせごとの料金を受け取るかどうかで考えると判断しやすくなります。受け取る場合は企業用の管理画面や請求の仕組みが必要になるため、既製システムかゼロからの開発が候補になります。
オープンソースのCMSで自作できるケース
オープンソースのCMSは、ソフト自体を無料で使えるため、自作するときの候補になります。代表的なのは利用者が多く拡張機能(プラグイン)も豊富なWordPressで、ほかにもDrupalやbaserCMSなどがあります。自作しやすいのは、比較LPや記事型の比較サイトのように、掲載数が少なく記事が中心になるケースです。社内に掲載情報の更新を担う人がいれば、外注費をかけずに始められます。
一方で、掲載企業ごとの管理画面や、問い合わせ件数に応じた請求の仕組みは、多くのCMSで標準機能にはありません。拡張機能を組み合わせて補うこともできますが、掲載企業が増えるほど保守とセキュリティ対策の手間が重くなります。
制作会社を選ぶ3つの基準
制作会社を比べるときは、次の3点を確認します。
- 比較サイトやポータルサイトを作った経験がある
- 比較軸とデータの項目から設計を提案できる
- 公開後の機能追加と保守に対応できる
見た目のデザインが得意でも、データ設計の経験が少ない会社に依頼すると、公開後に項目を足すたびに大きな改修が必要になる場合があります。見積もりを依頼するときは、サイトの種類、収益モデル、掲載予定の件数を伝えておくと、各社の提案を同じ条件で比べられます。
比較サイト構築の費用と期間
構築方法が決まると、費用と期間の見通しも立ちます。ただし金額は要件によって幅が出るため、相場の数字だけで判断せず、何が費用を左右するのかを押さえておくことが大切です。
サイトの種類で費用と期間はどう変わるか
| 種類 | 費用の大きさ | 期間の長さ | 費用がかかる主な作業 |
|---|---|---|---|
| 比較LP | 小さい | 短い | 比較表の作成、デザイン |
| 記事型の比較サイト | 中程度 | 中程度 | 解説記事の制作、申し込み率の改善 |
| ポータル型 | 大きい | 長い | 絞り込み検索、企業用の管理画面、掲載データの登録 |
同じポータル型でも、既製システムを使うかゼロから開発するかで、費用と期間に差が出ます。
見積もりを左右する5つの要素
- 掲載する企業の数と1社あたりのデータ項目の数
- 絞り込み検索や口コミなどの機能の数
- 企業用の管理画面と請求の仕組みの有無
- 外部のシステムやデータとの連携の有無
- デザインをテンプレートで作るかオリジナルで作るか
見積もりを比べるときは、要件定義、デザイン、開発、データ登録、テストのように工程ごとの内訳を出してもらいましょう。内訳がそろえば、どの工程に費用がかかっているのかを会社ごとに比べられます。
公開後にかかる費用
公開後は、サーバー代と保守費に加えて、掲載情報を更新する人件費がかかります。広告で集客する場合は、広告費も毎月の費用に入ります。比較サイトは情報の新しさが価値になるため、この更新の費用は運営を続けるかぎり発生します。初期費用だけでなく、数年単位の総額で構築方法を比べましょう。
比較サイトで注意すべき法規制
費用と並んで公開前に確認しておきたいのが、表示に関する法規制です。比較サイトは企業から報酬を受け取りながら商品を評価することが多く、表示の仕方によっては景品表示法に違反するおそれがあります。
景品表示法の優良誤認と有利誤認
景品表示法は、商品やサービスの品質を実際より大幅に優れていると見せる表示(優良誤認表示)と、価格や取引条件を実際より大幅に得だと見せる表示(有利誤認表示)を禁じています。消費者庁の表示規制の概要では、事実に反して競合の商品より優れている、または得だと見せる表示も同じく禁止の対象とされています。比較サイトで「No.1」や「業界最安」と書く場合は、根拠となる調査やデータを用意しておきましょう。
ステマ規制とPR表記
2023年10月1日から、広告であることが一般消費者にわかりにくい表示(ステルスマーケティング)が、景品表示法の違反になりました。消費者庁の運用基準では、規制の対象は商品やサービスを提供する事業者で、企業が第三者に依頼して書かせた紹介も、その企業の広告として扱われます。
比較サイトの運営者が企業から依頼や報酬を受けて紹介文やランキングを載せる場合は、広告であることが読者にわかるようにしなければなりません。「広告」「PR」などの表記を、読者がすぐ気づく位置に入れましょう。自社商品を載せる比較サイトでは、運営者が自社であることも同じように明示します。
ランキングの根拠を公開する
ランキングを載せる場合は、順位の決め方を説明するページを用意します。評価に使った項目、データを確認した時期、報酬の有無が順位に影響するかどうかを書いておけば、読者は順位を信頼できるか自分で判断できます。
公開後の集客と運用
法規制に沿って公開したあとは、読者を集め、掲載情報を新しく保つ運用に移ります。比較サイトは、公開した時点ではまだ読者も評価もない状態から始まります。
掲載情報の更新体制を整える
料金やキャンペーンは、各社の都合でたびたび変わります。更新の担当者と確認の周期を決め、掲載企業が管理画面から自社の情報を直せるようにすると、運営側の負担を減らせます。
立ち上げ期は広告と掲載企業の告知で集める
公開したばかりのサイトは、検索エンジンからの評価がまだありません。最初の数か月は、リスティング広告やSNS広告で読者を集め、比較表の使われ方や申し込み率を確かめましょう。
掲載企業との相互告知も、比較サイトならではの集客方法です。掲載企業が自社サイトに掲載バッジを貼ったり、SNSで掲載を知らせたりすれば、立ち上げ期の流入と、比較サイトへのリンクの両方が得られます。
中長期はSEOとサイト名の言及を積み上げる
検索からの集客は成果が出るまでに時間がかかる一方、評価が積み上がれば広告費をかけずに読者が集まります。「〇〇 比較」「〇〇 おすすめ」「〇〇 料金」のように、検索する人の目的ごとにページを分けて作りましょう。
Googleはレビューの書き方に関するドキュメントで、独自に調べた結果や定量的な測定結果、競合との違いを示すよう推奨しています。各社の公式情報を並べるだけでなく、自社で調べた結果や比較の根拠を載せることが、検索での評価につながります。
独自の調査結果をプレスリリースで発表し、業界メディアに取り上げられれば、ほかのサイトでサイト名が言及される機会も増えます。広告と相互告知で読者を集めているあいだに、こうした評価を少しずつ積み上げていきましょう。
よくある質問
比較サイトの作成は個人でもできますか?
比較サイトの制作期間はどれくらいですか?
比較サイト構築にかかる費用はいくらですか?
自社商品を載せた比較サイトを作ってもいいですか?
まとめ
比較サイト構築は、目的と収益モデルを決めるところから始まります。サイトの種類と比較軸まで決めておけば、依頼先との打ち合わせでも、必要な機能や費用の見通しを具体的に話し合えます。
もう1つ忘れたくないのが、公開してすぐに読者が集まるわけではないという点です。立ち上げ期は広告と掲載企業の告知で集客し、中長期はSEOとサイト名の言及で評価を積み上げる計画を、構築の段階から立てておきましょう。
